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西新宿 彩旬亭

2020.12.11ひとりごと

喪中はがき???



 

毎年11月から12月にかけて「喪中はがき」が届き始めます。

あまりにも当たり前に送ったり、届いたりするので文面についての意味合いについて気付かれていない方がほとんどだと思います。

実は故人や縁者に対して一部失礼な意味合いの文面なのです。

特に浄土真宗の関係者にとっては・・・。

 

まずは「喪中」の意味合いから

一般的には、親族・身内が亡くなった時に遺族が一定期間身を慎み喪に服する期間とされています。

死は穢れと考えられており、穢れが強い期間を「忌」と言い、穢れが薄らいだ期間を「喪」と言われています。

「忌」が明けるのが亡くなってから四十九日目(満中陰) 「喪」が明けるのが一周忌というのが一般的な考え方です。その期間内は神社へのお参りや祭事、慶事に参加することを慎みます。

「忌」や「喪」という死を穢れとする概念と捉えない唯一の宗派が浄土真宗の教えです。

人はいつか必ず亡くなります。その世で縁が尽きると直ちに阿弥陀様に救われ、お浄土に生まれさせていただくという考え方が浄土真宗の教えであり「忌中」「喪中」に捉われような生活はいたしません。

そもそも、浄土真宗のみならず仏教の教え自体、死を穢れとは捉えません。

神道は死を忌み嫌い、穢れと捉えますので、その影響だと考えられます。

 

忌中・喪中がないっていうことは・・・

残念ながら昨今の社会通念上、親族・身内がお亡くなりになられてもご縁のある方にはお知らせされない傾向にあります。

ひと昔前の葬儀式の様子も変わり、また今年のコロナ禍の状況も重なり血縁・地縁・社縁が希薄になり、「喪中はがき」が亡くなられたお知らせ通知の色合いが濃くなっているのが現状ではないでしょうか。

とはいうものの、うちは浄土真宗だから!と頑なに教えを守り、世間との軋轢を生んでも仕方ありません。

一般的な常識に配慮しつつ、浄土真宗の教えからもかけ離れず、尚且つ故人の友人知人に連絡を送りたい。

そういう時は「喪中はがき」ではなく年賀欠礼はがきにすればよいと思います。

喪中やその他の浄土真宗にふさわしくない文言を避けて家族が亡くなったことと年賀状を控える旨をお知らせします。

先方が必ずしもこちらが浄土真宗の門徒や縁者だと理解してるとは限りませんので・・・。

間違っても先方に対して“ご遠慮願います”と締めくくるような、こちらから年賀状を拒否するかのような文面は、相手にも故人にも失礼であり高圧的でもあるので避けていただきたいものです。

 

浄土真宗の年賀欠礼はがき

「新年のご挨拶をご遠慮させて頂きます」あるいは「新年のご挨拶にかえて」とされては如何でしょうか。

専門的な仏教用語の言い回しであれば「浄土往生の素懐を遂げました」や「還浄致しました」などと書きます。

難しく考えなくても普通の喪中はがきの「喪中」や「永眠」という浄土真宗には相応しくない文言を変えるだけでも浄土真宗用の「年賀欠礼はがき」となります。

 

浄土真宗の年賀欠礼葉書さける言葉

●永眠→浄土に往生

●霊前→仏前・ご尊前

●天国→浄土

●戒名→法名

●草葉の陰→浄土

●冥福を祈る→哀悼の意を表します

 

浄土真宗には喪に服することを必要としません。もちろん慶事に参加することは可能です。

しかしあまり浄土真宗だからと相手方に押し付けるような対応をいたしますと周囲の方々との摩擦が生じるかもしれません。

その点を重々配慮しながら、浄土真宗の教えに包まれた平穏な日暮らしを願います。

 

南無阿弥陀仏

 
浄土真宗本願寺派 須原山 正福寺