2021.03.31ブログ
「天才バカボン」と仏教
私が子どもの頃、漫画「天才バカボン」が放映されてた。
作者は富山県出身の赤塚不二夫さん。
北陸の地は仏教特に浄土真宗の盛んな有難い土地柄で、かつ真宗門徒、お寺に参る環境で育っていかれたのであろう。
赤塚さんは、数多くの著名な漫画家達が暮らしていたあの「ときわ荘」の住人で、その部屋の前の住人は、漫画「ブッダ」を描いた手塚治虫さんだったそうだ。
実は漫画「天才バカボン」は、いくつか仏教的な背景がある。
「バカボン」とは仏教用語でお釈さまの敬称であり、サンスクリット語の「Bhagavan(バガヴァーン)」「Bhagavad(ヴァガバッド)」、覚れる者という意味で”Buddha(仏陀、ブッダ)と同義語を漢訳している。漢字では「婆伽梵」「薄伽梵」と書く。
そして何を隠そう、バカボンのパパの言葉
「これでいいのだ」
は”あるがまま” “ありのままを受け入れる”という仏教の悟りの境地が表されている。
世の中には自分が思うようにならないことが多々ある。それこそが仏教でいうところの「苦」。
苦とは「思うようにならない」=「苦」となる。
「これでいいのだ」という言葉には、一切皆苦であるとこの世を認識し、起こったことを前向きに解釈する姿勢がある。
実に深い!!
さらに、『おでかけですか』と声をかけてくる「レレレのおじさん」についても、実際にお釈迦様の弟子である「チューラパンタカ(周利槃徳=しゅりはんどく)」がモデルになっているといわれている。
自分の愚かさに苦しんでいたチューラパンタカにお釈迦さまが
『得意なものは何だ?』と尋ねると
『掃除が得意です』と答えた。
そして、お釈迦さまはチューラパンタカに一本のほうきを渡し、
『塵を払わん 垢を除かん』
と唱え掃除をしなさいと諭す。
チューラパンタカはお釈迦さまの仰せ通り、その言葉を唱えながら来る日も来る日も掃除を続ける。
そのような日々が一年、二年、数十年と経った時にあることに気が付きます。
『真に払い除くべきものは、実は自分の心の中の塵であり埃なのだ』
そして、誰よりも愚かだったチューラパンタカはとうとう悟りを開くこととなる。
「天才バカボン」には、お釈迦さまのお弟子さんがモデルになっていることに、改めて赤塚不二夫さんの仏教に対する造詣の深さを感じずにはおれない。
さて明日から4月。
新年度が始まる。
心機一転、塵や垢を払って新たな一歩を!
南無阿弥陀仏
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