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西新宿 彩旬亭

2019.11.15ひとりごと

お寺へのセールス⁉



今に始まったことではないが、お寺にはあらゆるセールス等がある。

証券会社・保険会社・不動産土地活用・セキュリティ会社・墓地霊園・携帯電話・OA機器・ウエブサイト…

手段も様々でDM・電話・ファックス・メール・訪問…

基本的に私は、電話・訪問については、よほど多忙なことがない限りできるだけ対応し話だけは聞こうとしている。

これも何かのご縁だと思うので。

ただし勉強不足と感じたり言葉遣いができていないと途中でお引き取り願うこともあるのだが。

知人友人の寺院方に同様のケースがあった場合、どう対応するのかを聞くと丁重にお断りをするというのがほとんどであった。

 

そんな中、先日拙寺にHPをリニューアルしないかと見たところ30歳過ぎの若者がセールスにやってきた。

詳細については本人の名誉のために伏せておくが、内容面については充実した納得する部分もあったが、私も坊守も想定した金額よりも遥かに高額であった。

さらに昨年HPをリニューアルしたこともあるのでお寺の役員と相談して返事すると保留した。本人はどうも当日中に返事を求めているように見受けたこともあったのであえて…。

すると突然彼の顔色が変わり、会話の声が上ずりわかりやすいほど明らかに態度が変わった。残念ながら熱弁するものの彼のセールストークには伝わるものがなかった。

すると彼は

「役員さんたちは、将来のお寺のことをどうお考えなのでしょうか?お寺にとって何かプラスのことをしていただけるのですか?」

との言葉。確かに将来の寺院像は大切である。

 

しかし本年で創建525年となる正福寺。

今日のこの日まで継承できているのは計り知れない多くの方々の歴代の門信徒の方々のお陰である。この現実は紛れもない事実だ。

今後、彼が正福寺にもたらしてくれる貢献度など比にならない。ましてやその貢献度すら未知数なのだから。

先ほど彼が発した言葉から、一瞬にしてそんなことが頭の中を駆け巡った。

翌日、意を決して彼に伝えた。

「正福寺は、住職と役員が協議して双方納得した合議の上で物事を決めてきた。そこは曲げられないし筋を通したい。」

更にこうも伝えた。

「あなたを疑うわけではないが、たかが数時間だけでは信じるに足らない。待てないのならご縁がなかったこととして引き取るように。」

最後は、聞くに堪えない言葉を発して彼は退散した。

 

改めてコミュニケーション能力の質というもの学ばさせていただいた。

また目標に達することのできなかった時の人の引き際も考えさせられた。

結局のところ自分サイド側の立ち位置が中心で相手側への立ち位置が見えていなかったということだろう。

この一件を機に、お寺の将来の在り方に向き合うことができた。

 

南無阿弥陀仏

 
浄土真宗本願寺派 須原山 正福寺